. 言論NPO主催「東京-北京フォーラム」公式サイト - 【発言録】 1日目 全体会議

【発言録】 1日目 全体会議 page 1

 

発言録 1日目 全体会議1
司会
国分 良成氏(慶應義塾大学法学部長・教授)

 

 おはようございます。只今から、第6回東京・北京フォーラムを開催致します。私は、全体会議の総合司会を務めます、企画委員長国分良成と申します。第6回東京北京フォーラムは、本日と明日の2日間で開催されます。第1回当時は日中関係が厳しい状態でした。このような現状の下、民間の有識者が民間の立場から日中関係の改善を行おうとこのフォーラムを開催してきました。2005年から今回まで開催されてきた間に、日中関係は新たな段階に入りました。二国間中心主義から多面的な関係、そしてアジア・世界を重視する戦略的互恵関係へと変化しました。このような日中間の関係発展に言論NPOは貢献してきたと自負しています。

 それでは、まず日本側から挨拶をしたいと思います。安斎さん(株式会社セブン銀行取締役会長)宜しくお願いします。

発言録 1日目 全体会議2
日本側主催者挨拶
安斎 隆氏(セブン銀行代表取締役会長)

 

 おはようございます。主催者として本日開催できることは喜びに耐えません。関係各位の皆様に心から厚く御礼を申し上げます。

 東洋の奇跡と呼ばれた、日本の高度経済成長から、僅か20年ほどで中国が高度経済成長を果たすことができたのはどうしてでしょうか。私が考えますところ、第一の視点は世界及び周辺諸国で平和が維持でき、先進諸国の技術革新を習得できたからだと思います。そして世界全体での水平分業によって効率的な生産物の調達が行えるようになったことがあると思います。アダム・スミスは、「国富論」の中で分業によって経済規模の拡大、生産力が高まると述べていたように、これまで世界は分業による効率化が更なる高所得を生み出す好循環によって支えられてきました。しかし、現在世界は米国発の経済不安の中にいます。欧米は、雇用問題などを抱え、それに対応した金融緩和は政策効果をもたず、ギリシャ問題のように財政赤字問題も顕在化してきています。そして、欧米の有識者の中には、このような現状と90年代の日本を比較し、「日本化」を指摘する方もいます。

 私は、景気悪化が起こると財政支出と金融緩和で対応しようとするがために、逆に経済自体の自律性を失ってしまったことによって、このような現状に至ってしまったのだと思っています。政策対応が八方塞がりとなってしまったことから、自国の政策を優先する保護貿易政策をとろうとしている国もあります。こうした動きの拡大は、必ず将来の経済発展を阻害し、経済を萎縮させます。また、ナショナリズムに扇動され混乱するのも阻止されねばならないと思います。

 

 国分氏(司会)  中国政府の代表挨拶を朱霊氏より宜しくお願い致します。

発言録 1日目 全体会議3
中国側主催者挨拶
朱霊氏(中国日報社総編集長)

 

 まずは、主催者側のチャイナ・デイリーと言論NPO、そして、パネリストの皆様に感謝を申し上げます。このフォーラムは、2005年から今年まで5年間成功し、中日間の重要な民間交流の場となっています。今年のテーマは「アジアと日中の貢献」という、両国政府と人民の共通の希望を反映しました。

 近年、両国の首脳交流は頻繁になり、新しい成果が多く出ています。我々中国政府は日本政府と共に努力して戦略的互恵関係をより発展させたいと考えております。

 尊敬する福田様、仙谷様、加藤様、安斎様、李様、趙様、陳様、ご在籍の皆様方、本日東京‐北京フォーラムに参加してくださった皆様、そしてメディアの方々、社会の方々、私たちのパートナーである言論NPOのご尽力に感謝を表したいと思います。

 東京‐北京フォーラムは2005年の最も寒い冬の時期に開催され、今年までは6回も開催されました。喜ばしいことに2006年に両国の間に温家宝首相による「春の旅」などで新たな転換が伴ってきました。現在に至り中日関係はより健全な関係に入りました。さらに長期的な友好関係を続けるためには、メディアの力も欠かせないと思っております。今回のフォーラムでも、中国側は新聞やインターネットやケータイなど様々なメディア手段を使い、より求心力があり権威のある中国メディアで世界にこのフォーラムの実情を伝えたいと思います。

 今まで、中日メディアは報道をする時に良い面しか伝わらないことがあります。しかも、両国国民は主にそれぞれの主流メディアを信じる傾向があります。ですから日中友好のためにも、より客観的なメディアが必要だと考えられます。両国関係は50年の難しい状況にありましたが、文化や物の見方の違いなどで、矛盾を生ずることが避けられません。メディアはその矛盾を報道することも大事であります。そして、真相は確定できない時には、適当に報道することはよくないです。双方の主流メディアはより客観的に報道をすることが大切だと考えております。

 客観的かつ公正な報道は中日関係と民間交流を深めるためでもあります。私は、この東京‐北京フォーラムが日中友好や日中関係において着実な発展の中、継続した努力と貢献が行われますよう願ってやみません。

親カテゴリ: 2010年 第6回
カテゴリ: 発言録